また、高齢者の低ナトリウム血症を担当しました。
低ナトリウム血症を復習してみました。
2つのKey Pointを考えてみました。お願いします。
●自由水とNaのバランスを考える
・3+3のフレームワーク
●鑑別は浸透圧、細胞外液の増加がないか、尿Naで
・残るSIADHパターンは追加検査で
まずは1つ目です。
●自由水 (electrolyte-free water) とNaのバランス考える
・低Na血症とは、自由水がNaより相対的に増加している状態
低Na血症は希釈される(自由水up)か
Naが絶対的に足らないかの2つ
・自由水(electrolyte-free water)とは、電解質を含まない
体内を自由に移動して血中の浸透圧を保ってくれている
・自由水の出し入れはADHが主役。Naの出し入れはRAA系が主役
・ADHは
高浸透圧の刺激、脱水による刺激
アシドーシス、不適切な刺激(SIADH)
により分泌され、腎で自由水をしぼり、口渇感で飲水を促す
3+3のフレームワーク
希釈されて低Na血症
・水をたくさん飲む(原発性多飲症)
・水が貯まる病態(肝腎心)
・水がおしっこから出ていかない(SIADHパターン)
体のNaが絶対的に足らないから低Na血症
・Na摂取不足(塩分摂取不足、大量失血)
・尿でのN排出増加(MRHE、利尿薬過多など)
・腸管からの喪失(下痢)
さて2つめのポイントです
●鑑別は浸透圧、細胞外液の増加がないか、尿Naで
①変な浸透圧ではないか? (偽性低Na血症)
・血漿浸透圧>275mOsm/L
→高タンパク血症、高脂血症、高血糖 (血糖100上昇するとNaは2低下)
・尿浸透圧 <100mOsm/L
→原発性多飲症
②明らかな細胞外液量増加はないか?
→肝、腎臓、心臓による液体貯留
③尿中Na20mEq/L以下
・尿中へのNa排出低下
→細胞外液の脱水、塩分摂取不足
④尿中Na40mEq/L以上
・尿への自由水排出減少
→SIADH
・尿へのNa排出増加
→塩類喪失症候群、低アルドステロン症、MRHE、利尿薬過多
※SIADHパターンと、塩喪失による低Naとの鑑別は?
・FEUA>12%
→SIADHをnon-SIADHから区別するのに有用
(感度86%特異度100%)
・2Lの生理食塩水を24時間かけて投与し
FENaの変化が、0.5未満だと塩分喪失
●考察
最終的には、尿中Na40mEq/L以上の枠で悩むことにはなります。
生食で診断的治療をするのも状態が許せは良い対応かと思います。
尿中Na+尿中Kより濃いNaの補液を行うと必ず低Naは改善するとのパールもあります。
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