疾患のまとめ

症状がない顕性甲状腺機能低下症、治療する?

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【臨床状況】
CKDの75才女性。全身倦怠感、食欲不振を主訴に来院した。尿検査で細菌(3+)、亜硝酸塩(+)、Gram染色でGNR多数、白血球多数尿路感染症と診断し、抗菌薬加療を開始。第4病日には全身倦怠感の改善あり、食事摂取量も概ね10割になった。
しかし、入院時に測定したTSHが8.0mU/L,FT4 0.5ng/dLと甲状腺機能低下症があった。
ただ現状として、無症候性、、治療適応はあるのか?


【Clinical Question】
P:無症候性の甲状腺機能低下症が偶然見つかった血管リスクのある高齢女性
I:チラーヂンで加療を開始するのは
C:経過観察をするのと比べ
O:全死亡率が改善するのか


【二次文献】
Up To Date
・明白な原発性甲状腺機能低下症は、高い血清甲状腺刺激ホルモン(TSH)濃度と低い血清遊離サイロキシン(T4)濃度によって生化学的に特徴付けられます
・甲状腺機能低下症が一過性または薬物による可逆性でない限り、明白な原発性甲状腺機能低下症のすべての患者は、症状に関係なく治療を必要とします。

日本のガイドライン

【一次文献】
・TSH 10IU/L以上で心不全リスク、心血管系リスクが上昇するかも
(JAMA 2010304:1365-74)(circulation 2012;126:1040-49)
・PCI施行後は再発のリスクになる
(Eur Heart J 2016;37:2055-65)
・脳卒中との関連があるのは65歳以下のみ
(JClin Endocrinical Metab 2105;;100:2181-91)

【最新のsystematic review】
甲状腺機能低下症は、高齢者の心血管死亡率ではなく、全死因死亡率増加と優位に関連している。
(J Clin Endocrinol Metab. 2019 Dec 12. pii: dgz186. doi:10.1210/clinem/dgz186)

考察】
最新のsystematic reviewでも異質性が認められており、結論はまだ出ない様子。
でも現状としては、心血管イベントと心不全のリスクがあると考え、無症候性でも甲状腺機能低下症に対しては加療を開始しても良いのかもしれません。。
当症例では、CKDがある高齢女性で、心血管イベントリスクが高く、一過性の甲状腺機能低下症を除外の後に、チラーヂンS25μgから内服を開始するプラクティスを取りました。

潜在性甲状腺機能亢進症に関しては、また次回。

イギリス、マンチェスター、old trafford
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