終末期

終末がん患者を看取る家族の「折り合い」の方法

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終末期のケアを考える上で、一つの論文を紹介します。
日本がん看護学会誌 21 巻 1 号 2007に掲載された論文です。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjscn/21/1/21_40/_article/-char/ja/

家族が、患者さんの避けられない死に対しての「折り合い」をどうつけるのかを理解し、一緒に考えていければ
患者さんの家族との関係性の構築を助け
患者さんのケアにも大きく影響すると思われます。
また、ご家族のプレ・グリーフケアにも繋がります。

【研究の方法】
一般病棟もしくは緩和ケア病棟で終末期癌の患者のケアをしている
19の家族に患者が終末期であるとわかった時の気持ち
看取りの中で感じた困難や迷いや変化、乗り越えてきた方法と理由
現在の看取りでの関心事を聴取し、7つのカテゴリーに分類した。

Key Point
大きく3つの段階に分けられる
●状況や、自分の行動を受け入れる行程
●負担からの心理的防衛機制や分散が働く
●可能な付き添い方を模索する


状況や、自分の行動を受け入れる行程

①納得のための情報収集と吟味
「お父さんがずっと寝ています、急に悪くなったんですか?」
「実際に緩和ケア病棟を見てきました。」
「昨日より、力が弱いです。もう長くないと思う」
「リップクリームを塗ってあげました、口もかわいていたし、、」

②受け入れやすさへの転換
「本人も体力がついたと言っていた。体力がつけば見ている方も安心します」
「昨日は昼も寝ていたけれど今日はよく起きている。痛みがないんでしょうね。」
「(鎮静された患者を見て)眠っていれば楽なんだものね」

③あきらめの作業

「もう痰がでなくなってきた、、いつ詰まっても仕方ないね。。」
「もうやるだけやったから、もういいかなって。」
「母の人生もそれなりに良かったなと思えた」
「気持ちは行ったり来たりするが、踏ん切りが付きました」

①は納得を前提として、情報を整理して、状況や自分を振り返る
情報提供を求められた時に
家族が何を納得しようとしているのかを
見落とさないようにICをすることが大切


②は状況や自分の行動を肯定的な側面を探し、比較し、認識を切り替える
何の保証もない点(隣の患者は寝てばかりなど)と
比較して肯定的と捉えて、受け入れようとする姿があれば
否定しないように理解することが大切

③は思いを断ち切ろうとする儀式。
→この段階では、思い出を語り、状況を整理し
 自らの「折り合いの道」を作っていく過程が見られる。
 患者の生を肯定的に捉え
 その延長線上に死を位置づけることで
 死を生き様として捉え直すのことが可能となる。
死を意識しつつ、生への希望を持ち続けるという
両価的な心理状態の中で看取りを行っている
この両価性の解消は大事なポイントとなる


●負担からの心理的防衛機制や分散

④面倒を避ける算段
「本人が連れて帰ってほしいといえば考えましたが言わなかったから、、」
「苦しくなったら、鎮静をかけるかは息子に任せてください」
「少し、今日からわけがわからなくなったみたい、下でコーヒーを飲んでくるわ。」
⑤負担の分散 
「娘と、私と、妹と、交代交代に来てます」
「パンフレットを見せたら、娘もここが良いと言ってました」  「本人には癌だとはっきり言いました。私だけが抱えるのは辛くて」
⑥不一致を埋める接近 
「寝ているとカヌラが外れている。マスクは嫌だと本人は言うけど   外れて死んだら後味が悪いもの、、あ、うなづいたマスクにしましょう」

→④⑤⑥は、面倒や負担からの心理的な防衛機制が働いている。
家族にとって無理なく看取りを継続するためには自分を守る戦略が必要になることを理解する必要がある。


可能な付き添い方を模索する

⑦付添い方を変える
「近くのホテルに泊まり込んでます」
「食事を取らないので、面会時間を食事の時間に変えました。」

→⑦は可能な付き添い方を試みる機能があり、患者の変化に
注目しながら、自身の生活を変えたりケアの方法を考えている。
この行動は「看病できたという満足感」に影響し
悲嘆からの回復に強く影響する。
可能な寄り添い方を一緒に考えていくことは
プレ・グリーフケアとして大きな意味を持つ。


【考察】
●状況や、自分の行動を受け入れる行程
 →受け入れの行程では、「折り合い」の方向性
  についての共通の理解基盤を形成する

●負担からの心理的防衛機制や分散が働く

 →患者の防衛機制を認め、支持する

●可能な付き添い方を模索する

 →プレ・グリーフケアの一環として
  癒やしを与えられたらなお良い

日本、松江城

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