家庭医療理論

【家庭医療】思春期のケア

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臨床状況

ある日の外来に、母親が中学3年生の娘を連れて受診。主訴は頭痛と嘔吐であったが、話を聴くと「不登校」であることがわかった。家庭医が扱うべき「思春期のケア」について勉強した。

 

家庭医療専門医ポートフォリオのルーブリック

思春期の患者において,患者中心の視点を持って、 思春期特有の心身の発達周囲の人との関係性コミュニケーションの課題どの情報を収集した上で、 年齢・発達・社会背景を考慮しながら患者の将来を 見据えたケアにつなげている。


♦目次♦

①思春期特有の心身の発達
②年齢を考慮した対応
③患者中心の視点、周囲の人間との関係性、コミュニケーションの課題

 

 

①思春期特有の心身の発達

身体面の発達: ホルモンバランスが不安定 ,性的エネルギーが増大
心理面の発達: アイデンティティ(自己同一性)の確立,自立と依存の両価性に揺れる
社会面の変化: 自分の行動に責任が生じる

アイデンティティ(自己同一性)の確立

・状況や時期によって変わることのない「自分はこういう人間 である」という自己認識の確立
・社会や学校、仲間集団、家族からの影響を受けながら一人の大人 としての自分を確立していく

※両価性

・親からの自立と、親への依存の間で揺れる気持ち→「両価性を抱えた状態」
・ 親から自立したいという欲求が高まる一方で親から離れることの不安も感じる
・抱える両価性から、一見矛盾した態度をとることも
大人の役割は両価性を社会生活に支障がない範囲で収められるように支援し、子どもが紆余曲折しながら成⻑していくことを観察すること

 

♦自立への不安における、こども自身対応

仲間と一緒に行動することで仲間から安心感を得て、自立した行動が可能になる。もし、仲間からの安心感が得られなければ①こころの発達に影響(不安を抱えながらのアイデンティティの確立) ②不登校 ③自立できない などの問題が出ることがある。
子ども自身では十分に対応できず、不登校や身体症状などの形で現れてきた場合は大人の支えが必要

♦不安への周囲の大人の支え

・思春期に見られる症状や問題行動を理解する
→様々な問題行動や身体的・精神的症状は、子ども自身が苦手あった発達課題をやり直す過程で現れたサイン
(例)ずっと「良い子」であった子どもが自主性(自律性と自発性)を獲得しよ うとしたとき、反動的に反抗的態度が強く出る
・何を『理解』すればいいのか?
子どもにとっての行動の目標を理解する→どうなりたいのか?そのために今できることは?
背景にある諸要因を正しく理解する→どんな集団に属しているのか?居場所は?相談相手は?
抱えている両価性を理解する

②年齢を考慮した対応

♦中学生

★重視すべき課題
 自己のあり方を考える、法やきまりの意義の理解、自立した生活を営む力の育成
・様々な葛藤の中で、自らの生き方を模索しはじめる。
【葛藤】
葛藤①: 親や友達と異なる自分独自の内面の世界への気付き
葛藤②: 自意識と客観的事実との違いに関する悩み
葛藤③: 性意識が高まり、異性への興味関心も高まる時期でもある。
【模索】
模索①: 大人との関係よりも、友人関係に自らへの強い意味を見いだす。
→反抗期、親とのコミュニケーション不足
→仲間同士の評価を強く意識する反面、他者との交流に消極的
模索②: 自らの個性や適性を探求する経験を通して、自己を見つめ、自己の在り方を思考する

 

♦高校生

★重視すべき課題
 「大人の社会でどう生きるか?」「社会の一員としての自覚を持った行動 」「他者の善意や支えへの感謝とそれにこたえること」
・親の保護下から社会へ参画し貢献する、自立した大人となるための最終移行時期。
・自らの個性・適性を伸ばしつつ、生き方に ついて考え、主体的な選択と進路の決定をする。
→「自分は自分、他者は他者」という感覚が育ち、自分と違う面を持つ他者を受け入れることが出来るようになる(自我同一性の獲得の基盤)
↓レジリエンスやサポートが足りないと↓
自らの将来を真剣に考えること を放棄したり、目の前の楽しさだけを追い求める刹那主義的な傾向に
特定の仲間の集団の中では濃密な人間関係を持つが、集団の外の人に対しては無関心となり、社会や公共に対する意識・関心の低下をきたす

 

 

③患者中心の視点、周囲の人間との関係性、コミュニケーションの課題

患者中心の視点

・PCCMを参照
・必要に応じて、親を外して話すのも患者中心の視点

周囲の人間との関係性

・親、兄弟、友人、先生、親戚、医療関係者
・どんなグループに属している?
 家族図みたいにグループ図を書いても面白い

コミュニケーションの課題

・自閉症スペクトラム(ASD) 注意欠陥・多動性障害(ADHD) 限局性学習障害(LD)、愛着障害 HSP(敏感さん:Highly Sensitive Person) コミュ障
→病名がつくつかないに関わらず、それぞれに傾向がある
・思春期はどんどん権威者を嫌う傾向にある。コミュニケーションをとる上で注意が必要

まとめ

自分の思春期を思い返すと、、、納得するところと、しないところ色々です。
次回に、思春期外来のポイントをまとめます。

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