プライマリ・ケアでの慢性膵炎診断

Common Disease

慢性膵炎とは

慢性膵炎は、日本人約2000人のうち1人が罹患する病気です。飲酒や喫煙などによる「持続的な病的反応」が膵臓の線維化を引き起こし発症します。プライマリ・ケアでもよく遭遇する病気で、腹痛の患者さんを見るたびに「アミラーゼも採血に追加しておこうか、、」と迷わされてきました。

今回、プライマリ・ケアでの慢性膵炎診療を「膵酵素を採血に追加するより大切なこと」に着目してまとめました。

まとめ

①大切なことは、慢性膵炎発症のリスクを見積もること。
②腹痛発作が起きる代償期(5-10年間)のうちに介入を!
③繰り返す腹痛を見たら慢性膵炎を想起し、リスク高そうなら一回画像検査を

想起

慢性膵炎を想起すべき患者さんはどんな患者さんでしょうか。
☑アルコール多飲歴or急性膵炎の既往or高TG血症の反復する腹痛患者
☑食後、特に脂肪分の多い食事をとった後や飲酒後、仰臥位で悪化する腹痛
大切なことは、慢性膵炎らしさとは「リスクの高い患者さん」「繰り返し」腹痛を経験すること。

Diagnosis

診断基準

①特徴的な画像所見or特徴的な組織所見
②反復する上腹部痛や背部痛
③血中または尿中膵酵素の異常
④膵外分泌障害
⑤1日50g以上の持続する飲酒歴or膵炎関連遺伝子異常
⑥急性膵炎の既往
・確定診断→①で確定所見or①で準確定所見+②-④のうち2項目以上
・準確定診断→①で準確定所見
・早期慢性膵炎→②-⑥で3項目以上と早期慢性膵炎の画像所見
※画像所見
確定所見→CT所見(膵管内の結石、膵体部に分布するびまん性石灰化)、MRCP/ERCP所見
準確定所見→CT所見(主膵管の不規則なびまん性拡張と、膵臓の萎縮)、US(膵内の結石と思われる高エコーor主膵管の不規則な拡張を伴う膵臓の変形や萎縮)、MRCP/ERCP所見
日本膵臓学会の診断基準では、生検結果や画像所見が確定診断には必要です。プライマリ・ケアのセッティングではエコー+採血+症状でなんとか診断基準は満たせますが、膵癌等を否定するため、強く疑えば画像検査をするべき!

鑑別診断

☑膵癌/膵管内乳頭粘液性腫瘍
☑胆道系疾患(胆石症、胆管炎、胆管癌)
☑自己免疫性膵炎

🚩Red Flags🚩

発熱
 →急性増悪(急性膵炎)s/o
体重減少、腹水
 →膵癌s/o
黄疸
 →胆道系疾患s/o
Red Flagsがあれば、紹介を。General悪ければ、紹介前に血糖だけでも図っとこう。

フローチャート

AMPLE

病歴から、病因を探ります。膵臓学会の診断基準を見ると、採血での膵酵素の異常は、これらの病歴から得られるリスク因子と同じ重み付けがされています。
・既往歴(高TG血症、IgG4関連疾患、DM、膵臓の外傷)
・嗜好歴(アルコール(1日50g以上)、喫煙歴)
・家族歴(再発性急性膵炎、特発性慢性膵炎、遺伝性膵炎)
改めて、採血でAmy追加する前に「既往歴・家族歴・嗜好歴」

Test

・採血
 →膵酵素(Amy or Lipase)、肝胆道系(T-Bil,TG,ALP,AST,ALT)、血糖(HbA1c,血糖)、TG、CBC
  ±膵癌を疑えばCEA,CA19-9追加
 1)急性膵炎除外のための膵酵素
  AmyやLipaseは慢性膵炎に対しての診断的価値はあまりない
  急性膵炎(基準値3倍以上に上昇)がないかどうかを確認
  繰り返す急性膵炎では徐々に膵酵素上昇が乏しくなる
 2)肝胆道系疾患の合併確認
  胆道系酵素の上昇は、膵臓の線維化に伴う胆管内圧上昇を示唆
 3)二次性糖尿病の合併が無いか確認
 4)高TG血症
  膵炎を起こすには、500-1000mg/dLは必要
膵酵素は、慢性膵炎の診断というより急性膵炎除外という意味合いの方が強い

Time course

①代償期(5-10年間)
 ・慢性膵炎発症後、複数回の膵炎発作が起こる時期
 ・徐々に組織の線維化が進行する
②非代償期
・膵外内分泌機能不全による消化吸収障害(脂肪便など)と膵性糖尿病が主症状となる時期
・膵炎発作は起こらなくなる
腹痛発作が起きている代償期(5-10年間)のうちに介入を!

Treat

1st.

☑禁煙と禁酒、低脂肪食、少量の摂取、脱水症の回避
☑疼痛管理はアセトアミノフェン、NSAIDsから
 ±SSRIやガバペンチンを鎮痛補助に
☑代償期
・フオイパン100mg3T分3(6T分3まで増量可)
・ベリチーム配合顆粒3g分3

専門医に紹介

☑膵癌を除外できないので、疑えばCT撮像目的に紹介が良いか。
初期治療と定期的な画像検査をお願いし、禁酒や禁煙、食事制限を患者さんと協力しながら診療していく

最後に

慢性膵炎の診断には、リスクの見積もりと、繰り返す病歴が大事です。「膵酵素」を追加する前に、再度病歴を

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