下行期慢性疾患

どんな人が下降期慢性疾患なのか?

  • 社会的サポートや、生活指導、投薬調整で入退院を繰り返しながら、徐々に下降していく疾患群
  • 2-3ヶ月通っていた専門科への受診が難しくなってきた
  • 地域の診療所に「BSCの方針となっております。日常的な管理をお願いします。」と地域に戻ってくる。長期戦が待っている事が多い。
  • 状態が不安定となり、頻回の受診が必要

虚弱高齢者(フレイル)

  • 加齢のために身体機能を支える恒常性維持機構が低下して、ストレスに抗う力が低下し、健康障害に対する脆弱性が高まった状態

  • 評価方法(FRAIL scale)

    • 3項目以上  虚弱, 1−2項目  前虚弱

    体重減少:過去1年間で5%以上の体重減少

    疲労:過去4週間の疲労感がいつもorほとんど

    抵抗:10段の階段を上がる際に休憩or支援が必要

    移動:数百ヤード(1ヤード=91.44cm)の歩行が困難or支援が必要

    疾患:以下の疾患のうち5疾患以上 (関節炎、糖尿病、狭心症・心筋梗塞、高血圧、脳卒中、気管支喘息・慢性気管支炎・肺気腫、骨粗鬆症、大腸癌・皮膚癌、うつ病・不安障害、認知症、下肢潰瘍)

第4章 栄養 4.フレイルと栄養 | 公益財団法人 長寿科学振興財団

虚弱高齢者・下降期慢性疾患患者の特徴

  • 虚弱高齢者が多く、その半分の健康問題はBiomedicalで解決できない
  • 虚弱高齢者においては問題が累積し、症状として現れる。
  • 多疾患併存であることが多い
  • 専門職連携が必要:生活の質の維持・向上のため専門職連携(看護師、薬剤師、管理栄養士、リハ、CM)、水平統合が必要
  • 外来と在宅と病院病棟との価値統合が必要:「今はそれほど症状は強くないですが、早めに入院させてください」を理解してもらえる相手が必要
  • 倫理的な検討を要する

虚弱高齢者・下降期慢性疾患のケアにおいて重要なポイント

  • 主訴は一旦置いておいて、全体を評価することが必要
  • 全体を評価するツールとしてFM is GPモデル

FM is GPモデル

Multimorbidity時代の外来教育モデル「MFGIPS powered by YasukiF」 – 藤沼康樹事務所(仮)for Health Care Professional Development

Function

  • CGA(高齢者総合的機能評価)は評価されているか?
    • ADLとIADL

      • ADL
        • Eating・Toileting・Dressing・Ambulation(移動)・Hygiene(風呂・整容)※最後まで保たれる順(ETDAH)
        • 一つだけ聞くなら、入浴を聞く。湯船に入れて背中を洗えたら他は大体できている。
      • IADL
        • Shopping・House-keeping・Account(お金の管理)・Food preparation(料理)・Transport(公共交通手段)
        • 一つだけ聞くなら公共交通機関をつかって帰ってこれるか?を聞く。 2年ぐらい全然出かけていない?そしたら他も、、と聞いていく。
        • 金銭管理できるってことは、判断能力があると考える。
    • CGA評価方法(Dr.SPERMAN・CGA7)

    • GOAL設定(SMART)

      S : Specific 具体的 M : Measurable 測定可能 A : Achievable, Attainable, Appropriate 達成可能 R : Relevant, Result-based, Related, Realistic 切実・重要 T : Time-bound, Timely 期限が明確  短期ゴール(STG: Short Term Goal)  長期ゴール(LTG: Long Term Goal

    • m-CGA

    • Tips

      • 評価に時間を要したり、様々な専門科との連携が必要だったり、医療機関内では評価が難しい項目も含むため、セッティングごとの工夫が必要
      • 多職種によるチームで評価(対象やセッティングによって関わる職種や連携の手段は変わり得る)
  • Advanced ADL: 趣味、生きがい、欠かせない価値
  • 認知機能評価はされているか?

Multimorbidity

多疾患併存状態
多疾患併存状態(Miltimodility)とは?いくつかの慢性疾患が併存し、診療の中心となる疾患、医者を設定し難い状態のことどの科の専門家が中心となるべきかが明確になりにくく、ケアが科別に分断されている状態Miltimodil...
  • 他科受診、治療内容を把握、Multimorbidityに適したカルテ記載
  • Bio-psycho-socialの問題がリストアップされているか

Intervention

  • 薬物治療
  • 生活指導、非薬物治療、サプリ
  • フォーマルなサポート 例)介護保険サービス
  • インフォーマルなサポート 例)家族や友人など
  •  

Salutogenesis

健康生成論
  • 下降期慢性疾患や終末期において患者の自己/主体の一貫性を保証するものは日常ルーチンであり、日常ルーチンの下支えがケア構築の際のキーとなる
  • 強み、健康資源、Creative Capacity
  • セルフケア

Guidelines & Goals

  • 適切なプロブレムリストの順位付け
  • プライオリティの高い疾患のガイドラインの概要は?
  • 「落としどころ」としてのゴールはなにか?

Pain, Palliation & Prevention

  • 痛みの評価は?

  • advanced care planningに関する対話が必要か?これから1年間の間に死亡しても不思議ではないという感覚があるか?
  • ワクチンなど予防医療の適応はあるか?

Chronic Care Model(CCM)

PAHO/WHO | The Chronic Care Model

  • CCMはもともとある施設やヘルスシステムにおける慢性ケアの仕組みを評価、質向上をはかるものとして1990年代にWagnerらにより開発されたもの
  • 慢性の健康問題全体に共通するものとして構築された概念
  • 個人の患者ではなくシステム全体の質改善に焦点が当たっている

6つのコンポーネント

  • 組織化された慢性疾患ケアの提供(Organization of Health Care)

  • 地域との連携(Community,Resources and Policies)

    • 患者会とか、地域に存在するサポートシステム、地域のキーマンなど
  • 自己管理支援Self-Management Support)

    自分で勉強できるということ、自己学習みたいな施設があるということ

  • 診療における意思決定支援(Decision Support)

    医者によって治療法が変わらないというようなシステムのこと

  • 医療提供システムの設計(Delivery System Design)

    予約制でみているかなどの診療所・病院のスタイルとかリソースのこと

  • 臨床情報システム(Clinical Information Systems)

    電子カルテのシステムなど

chronic care model(CCM)を促進する要素[BMC 2022]

 

  • CCMは臨床転帰の改善は治療にあたる医師と患者との間の「生産的な相互作用」によってもたらされるという仮定に基づいている
  • この相互作用を促進するのが、セルフケア、連携、意思決定支援、IT/データの4原則の組み合わせである

CCMを臨床現場に適用するためのアセスメントツールACIC(Assessment of Chronic Illness Care)

NCBI – WWW Error Blocked Diagnostic

CCMの実践例

Chronic care model ポートフォリオ

心不全地域医療連携の会|倉敷中央病院心臓病センター循環器内科|岡山県倉敷市

セルフマネジメント

オレムの看護理論が参考になる

簡単!ドロセア・オレムの3つのカテゴリと5つの援助方法

Tips

    • 夫と妻各々の生活機能が一人暮らしできるかどうか境界線上であっても、二人だと案外助け合ってうまく生活できる場合が多い。

    • まず、高齢夫婦それぞれへの援助(家事援助や介護の代行などの外部支援を活用し、相手をケアする体力と心のゆとりが生じるようにする)を通して高齢夫婦のケアしあう関係をアセスメントして、**互いの理解を深め互いを確かめ合う機会を提供し互いの気持ちやケアしあうことに気づくようにする。

    • 老老世帯は夫婦を一つのユニットとしてみて機能評価し、支援ポイントを探す

    • 後期高齢者以降の代表的な人生の課題とはリタイアメント・退職・配偶者の死・終活・どのような死を迎えるか(自分自身の一回きりの人生を、そうならねばならなかったものとして、また代わりが許されなかったものとして受容すること、過去を悔やむのではなく、今のこと、いまあるがままの自分の生に集中できること)

    • 外来とは、生活のニードルバイオプシー

    • むやみな介護サービス導入は、主介護者の負担を増やすかも

      • 介護の力量不足、介護に対する自己効力感、社会的支援の少なさ、代替介護者の存在などが、介護負担感UP
      • むやみな代替介護者の存在は追加的な時間と資源を必要とし、葛藤を生み、主介護者のストレスが増加する可能性があるかもしれない
    • 認知機能が低下しても、自己の基礎的な側面(具現化、代理性、自己連続性)は保たれやすい

      • 具現化

        自己が自分の体と環境の一部であるという認識(自分が歩いているという感覚や、自分がある場所にいるという感覚)

      • 代理性

        自分が自分自身をコントロールしているという感覚(自分が何かをするために必要な動きをコントロールしているという感覚)

      • 自己連続性

    • 超高齢者にとって日々の服薬はそこまで負担に感じていない

      • 日々の服薬は、高齢者自身にとっては大きな問題ではなく、毎日のルーティンに組み込まれており、服薬に関連する作業に高い受容性があった
      • しかし、新しい医学的診断や人生の大きな出来事が発生した場合には、安定した状態が崩れる
    • 慢性腰痛症患者の診療満足度には医師の共感性が重要

      • 医師のコミュニケーション、共感性、オピオイドの処方、痛みの程度、身体機能、健康関連のQOLなどを測定
      • 医師の共感性が患者満足度に最も強く関連
      • 患者と同じ医師を5年以上受診している患者のグループでも同様
    • 慢性疾患を積極的に自己管理することで自己結合感や気分を改善する

    • CGA評価を受けた地域居住の虚弱高齢者は、計画外入院のリスクが減少する可能性がある[cochrane 2022]

    • 介護者による患者の評価[BMC 2022]

      大多数の介護者の評価は、ADLおよびIADL、栄養失調の問題を正しく認識していた。一方で不眠症やうつ病のような問題は介護者にとってより認識しにくいものであった

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