全人的ケア(Whole person care)

Whole person care
・治療関係の中で
・医師と患者の人間性を認識し
・Biologybiographyを統合しながら
・well-beingに着目したアセスメントにリンクした
・多次元的で柔軟性のある様々なケアの方法を
・他のシステムやケアプロバイダーとの連携の中で採用するケア。

 

Whole person careとは、単に幅広い知識源のことではなく、その知識をどのように集め、整理するかということである(Reeve)

Whole person care(WPC)の定義

WPCは、身体が人生経験によってどのような影響を受けるかを科学的に統合した、理論的に強固なアプローチである

一般診療におけるWPCの定義に関するSystematic Review

Definition of whole person care in general practice in the English language literature: a systematic review
Objectives The importance of ‘whole person’ or ‘holistic’ care is widely recognised, particularly with an increasing prevalence of chronic multimorbidity intern...

  • 治療関係の重要性
  • 医師の人間性の認識
  • 患者の個々の人間性の認識
  • 健康を病気がないこと以上のもの(Well-being)として捉えること
  • ケアへの多次元的アプローチ
  • 様々な治療方法を採用する

いつwhole person care(WPC)が必要か?

心理社会的苦痛や多疾患併存で、複雑で、しばしば断片的、未分化、原因不明な症状を管理する際にはwhole personの評価に基づいたアプローチが必要

  • WPCは、現代医学を歴史的に特徴づけてきた還元主義的な生物医学とバイオテクノロジーのパラダイム[Biomedical model]の欠点に対処する
    • 生物医学のパラダイムは、明確に定義された疾患の治療には有効であるが、その人の複雑な背景を考慮せず、身体的、心理的、その他の健康の領域間の重要な相互作用を認識しない
  • 生物医学のパラダイムにうまく当てはまらないの患者のニーズに応えるためには「病気や不調がないだけでなく、身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態(=Well-being)」として健康を目的と捉え直すアプローチが必要
  • Well-beingを促すためには、身体的、精神的、社会的などwhole personの評価に基づいたアプローチが必要となる

生物医学のパラダイムにうまく当てはまらない複雑な症状を持つ患者を考えるときに特に問題が生じやすい

Healthcare costs incurred by patients repeatedly referred to secondary medical care with medically unexplained symptoms: a cost of illness study - PubMed
The repeated referral of patients with MUS to secondary medical care incurs substantial healthcare costs. An alternative form of management that reduces such re...

WPCはどう実践すれはよいか?

治療関係を利用し

医師患者関係
医師と患者の関係には様々な側面がある個人的な側面患者に対して励ましや肯定、無条件の受容を提供する。長期的に継続することで、こうした関係は友人関係に似てくると振り返るGPもいた。「ある患者はとても居心地...

医師患者関係の「アート」は、WPCの基礎となるものである。質の高いWPCを提供するためには、個々の医師・患者レベルと、より広い医療システム設計の両方で、医師患者関係を考慮する必要がある。

医師と患者の人間性を認識し、Biologyとbiographyを統合しながら

「少なくとも、できる限り、その人やその健康に関係するすべてのことを見守る」

  • 患者を一連の疾患としてではなく、としてとらえる。
  • 患者を人として捉えるためには、Biomedicalから外に出て、健康や治療に影響を与える多面的な要素を考慮する必要がある。

多面的な要素

  • 複数の個人的・文脈的要因<心理的・感情的健康、健康の社会的決定要因、家族の状況、文化、霊性・世界観、環境、ライフステージ、健康に対する考え方>などより幅広い要因を含む
  • 上記のmapは、どのような形態の知識が全体の一部として評価されるべきかを明らかにするもので、実証主義的知識(観察可能な知識)ポスト実証主義的知識(観察できない主観的な知識)の間にある 認識論的、存在論的、公理論的、論理的な知識文化の障壁の分析に基づいて構築されている

多面的な要素を扱うためには

Biologyとbiographyを統合する必要がある
具体的な方法
解釈的医療を実臨床に適用する-United Generalism Model-
解釈的医療を臨床でどのように適用していくかについて.ジェネラリストの仕事を統合ケアと 解釈的医療 というジェネラリストの"2つの顔"から分析する.その後に解釈的医療をどのように適用していくかを考察する.
患者中心性を強化するknowledge work
患者と医師の双方向のknowledge workにより認識的不公正を是正し、患者の経験と必要性に関する新しい知識の共同創造を促進することが患者のケアを強化するだろう。

 

well-beingに着目したアセスメントにリンクした

well-beingに着目したアセスメント
Social Emotional Wellbeing(SEWB)フレームワークオーストラリア先住民(アボリジニ等)の視点から分析されたWell-beingの考え方SEWBは、精神的健康を含...

 

多次元的で柔軟性のある様々なケアの方法を

  • WPCは、共同意思決定という具体的なプロセスをさらに強調する患者中心ケアや、病気、次元、行動、ライフストーリーへの注意を示唆する精神医学のperspectives approachとも重なる

個人中心(PID)のアプローチ

Person-centered approaches in medicine: clinical tasks, psychological paradigms, and postnonclassic perspective.Psychology in Russia: State of the Art
Person-centered approaches in medicine: clinical tasks, psychological paradigms, and postnonclassic perspective. Established in 2008, the Russian Psychological ...
  • 病気の主観的なパターンと、病気における個人的な発達の社会的状況に焦点が当てられる
  • 臨床における治療、予防、リハビリテーションにおいて、本人中心のアプローチが重要
  • 患者の自律性、価値観、尊厳を尊重する

関係中心のアプローチ

  • この研究では、思いやりのあるケアを促進するための知識や実践の種類を探るため、人と関係のある知識(Liaschenko, 1997; Liaschenko and Fisher, 1999)の概念と、関係のある実践に関する最近の著作(Parker, 2008; Williams et al, 2009)を利用した。

必要なSkill
  • 交渉や妥協する意欲がある
  • 別の視点を見ようとする意欲がある
  • 他者の感情を促進し、受け入れる
  • 個人情報を共有する
  • 他のアイデアに対してオープンであること
  • 物事がうまくいっていないときに、洞察を共有する。
  • 人が得意とすることを認識する
7つのC model
  • 7つの「C」は、思いやりのある人間関係を中心としたケアを提供する日々の現実を、はるかに完全で微妙なニュアンスで理解するものである。
  • 「プレイヤー」が思いやりのあるケアへの道筋である「感謝に満ちたケアの会話」をするために必要なリスクを取る勇気を持つために必要な支援的環境を明確にし始めた

目標思考のアプローチ

  • ヘルスケアに関する意思決定とアウトカム評価における目標指向のアプローチは、患者中心主義を改善し、個々の患者の好み、ニーズ、および価値観をよりよく満たすことができる。
  • このアプローチは、様々な次元での患者個人の健康目標に焦点を当て、これらの目標がどの程度達成されているかを判断するものである。
  • 特に、複数の慢性疾患、重度の障害、短い余命を持つ患者に対しては、ケアを提供する際に患者の望む結果を考慮することが重要である。

Sense of Coherence

他のシステムやケアプロバイダーとの連携の中で採用する

複数の人が患者をケアする

  • このアプローチの利点としては、GPが提供する時間やスキルがないケアを可能にすること、役割分担を改善すること、情報を強化することで患者の「納得」を高めること、患者が問題を議論し他のプロバイダーとの関係を構築すること、コスト削減、「負荷を共有する」ことでGPの診療寿命が延びることなどが挙げられる。一部のGPは、患者と他のチームメンバーとの関係によって、医師と患者の関係が強化されると感じている

他のケアプロバイダー間の関係

ジェネラリストアプローチである

参考文献

The nature of whole person care
The aim of this qualitative study was to determine how general practitioners understand whole-person care and its facilitators and barriers.
Factors affecting the provision of whole person care
Multiple factors related to the immediate, local and broader contexts of care, together with overarching factors, influence its provision.

 

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