【プライマリ・ケア】しびれ診療

Common Disease

プライマリ・ケアでのしびれ診療を考えてみました。

特に高齢者の方の「しびれ」は再現性のないことも多々あります。

その中で、フォローしながら専門家につなぐべきタイミングを逃さないようにできたらと思います。

心構え

♦病歴と分布がはっきりしないながらも、本気で向き合う
♦しびれという言葉の意味や、しびれの分布、しびれの発症機転、背景因子を確認する
♦高位診断の前に血流と、筋骨格系を先に評価しとく

Red Flagsを確認

病歴

 🚩進行性、急性発症、強い疼痛、頭部外傷後、先行感染

随伴症状

 🚩脊髄圧迫、中枢神経の評価:膀胱直腸障害、歩行障害、巧緻運動障害、顔面(口)の痺れ、四肢麻痺、体幹失調、脳神経症状(構音、複視)
 🚩神経伝導検査が必要なしびれ:筋力低下
 🚩Treatableな全身疾患:発熱、体重減少

 🚩間欠性跛行→基本的にMRI、PADっぽければABI

Physical

 🚩血流の評価:四肢の腫脹圧痛、足背or橈骨動脈触知減弱、色調の変化
 🚩脊髄圧迫、中枢神経の評価:腱反射亢進、10秒テスト、バレー兆候、ロンベルグ兆候
※10秒テスト
・手掌を下にしてできるだけ早くグーパーを繰り返す。21回以下で巧緻運動障害疑い。

ニューロパチーのタイプを分けてみる

多発単ニューロパチー(色んな所がしびれる)

・状況に応じて、採血(VitB1, VitB 12, 葉酸,血糖, HbA1c, Cre,甲状腺ホルモン)+α 悪性腫瘍、膠原病、感染症検索(抗核抗体, 血沈, 蛋白分画, 各種画像検査)

多発ニューロパチー(手袋靴下型)

「良性の多発ニューロパチー」らしさは?
・左右対称、四肢遠位に強調、感覚障害のみ、高齢発症、緩徐な進行
・これらを満たすとDM or 薬剤 or アルコール or CIAP(特発性)っぽい
良性らしくない多発ニューロパチーは電気生理検査目的に紹介を

単ニューロパチー

・先に帯状疱疹が無いか確認

上肢のしびれ

脊髄症がないかどうかをもう一度
・腱反射亢進、10秒テスト、バレー兆候
Spurling test(感度30%,特異度93%),Shoulder abduction relief test(感度17-78%,特異度75-92%)
①しびれの場所であたりをつける(C6/7→C6)
 C6→橈側 C7→正中・背側 C8→尺側
②腱反射・ROMも見てみる
C5→上腕二頭筋腱反射 C6→腕橈骨筋反射 C7→上腕三頭筋腱反射
C5→三角筋 C6→手関節背屈 C7→手関節掌屈 C8→指屈曲 T1→骨間筋
③手根管症候群らしさは?
・手をぶらぶらすると楽
・夜〜明け方の手首を超えない疼痛
・Ring finger splitting(+)
・短母指外転筋のROM低下(エド・はるみの指にして、顔の方に力を入れてもらう)
↔Ring finger splitting(-)、手背の感覚障害:C6、C7神経根症
④肘部管症候群らしさは?
・Ring finger splitting(+)
・前腕尺側の感覚障害
↔Ring finger splitting(-)、前腕尺側の感覚障害が手関節の皮線より6cm以上中枢側まで広がる:C8神経根症

下肢のしびれ、坐骨神経痛

身体診察
SLR:L1-L3神経根の圧迫
足の角度が30-70°で殿部からヒザ下まで痛みが放散すれば陽性
椎間板ヘルニアに対して高感度

☑Crossed SLR test
健側の足の挙上させ、症状が出現すれば陽性
☑大腿神経進展テスト(FNST):L5-S1神経根の圧迫
患者を腹臥位にし膝関節を90度に曲げ、そのまま上方に引き上げる。大腿神経に沿った痛みが誘発されれば陽性。
Katayama’s Bonnet test:梨状筋症候群疑い
患側の足関節を健側下肢の外側に膝関節を屈曲させながら移動させる。その後、膝関節部を押さえて健側方向に内転させ、坐骨神経に沿った疼痛の誘発が認められる場合に陽性。

 

☑しびれの場所でなんとなくのあたりをつける(L1/2→L2)
大腿外側(L2)、大腿前面(L2-3)、大腿内側(L3)
下腿内側(L4)、下腿外側(L5)
足背・足の裏(L5-S1)

 

☑ROM・腱反射も見てみる
股関節屈曲(L1-3)、膝伸展(L3-4)、母趾背屈(L5)、肛門括約筋(S2-4)
膝蓋腱反射(L3-4)、アキレス腱反射(S1)

検査
☑Xp
・椎間板やすべり症等の評価を
☑CTやMRI
・急性期治療中に症状が持続または悪化する
・特に筋力低下の増悪など
・opeを検討する場合
治療・Next Steps
☑まずは対症療法3週間
・疼痛が3週間持続すれば
☑椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症のope
・馬尾症候群や疼痛の経過でope適応を
・短期的な治療効果は高い
☑筋電図検査および神経伝導検査
・画像で原因の特定できない、持続性または重度の所見のある患者
☑脳脊髄液(CSF)分析のための腰椎穿刺
腰仙神経根症の炎症性または感染性の原因が疑われる場合

紹介基準

・Red Flags陽性
・原因が説明できない多発単ニューロパチー
・「良性のしびれらしくない」多発ニューロパチー
・経過の悪い単ニューロパチー
・生活に支障が出る手根管症候群、肘部管症候群

対症療法

しびれのみ
・牛車腎気丸
・メチコバール500μg3T分3
痛みを伴う
・リリカ 50mg1Tから→100mg2T→150mg 2Tと少量から増量
・サインバルタ20mg1Tである程度使う→40mg1Tまで増量可

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