今日は論文を1つ抄読します。
「社会参加が、健康寿命を伸ばすかも?」という愛知県の前向きコホート研究です。
●臨床状況●
COPDの既往があり,当院外来を通院中の80歳男性.ADLは自立しており利用サービスなし。●年▲月、COPD急性増悪があり、入院し吸入薬の調整を行い退院した。
退院後、外来で経過をフォローしていたが、ご本人は元来仕事人間であり
退職後は趣味がなく、病院以外は家から出ないという生活が続いていた。
主治医として、社会参加を促していたが、中々効果がない状況が続いている中で、実際に社会参加によりご本人の予後やフレイルの予防に意味があるのか、調べてみることにした。
ここからは論文を見ていきます
BMJ Open. 2019 Nov 11;9(11):e030500.PubMed PMID:31719076
Social participation and the combination of future needs for long-term care and mortality among older Japanese people.
結果まとめ
・アウトカムの発生率では、有意差が出たけど、ちゃんと解析したらギリギリ有意差はつかなかった。
・でも、社会参加で健康寿命を改善できる可能性は大いにあり!!
・特に、スポーツクラブや趣味が良い(宗教団体はマイナス)
【論文のPICO】
P:愛知県の6つの市町村から選ばれた、身体的障害や認知機能障害がないと判断された65歳以上の住民
I:8つの社会参加(町内会や市民クラブや消防団(地域社会)、趣味グループ、スポーツクラブ、政治団体、産業団体、宗教団体、ボランティアグループ)
の中で1つ以上の社会参加することは
C:1つの社会参加も参加しないのと比べ
O:主要評価項目は、9.4年間の観察期間終了時の介護保険の必要性と死亡率。
副次評価項目は、2年間、5年間の介護保険の必要性と死亡率
【結果】
Outcomeの発生率
・社会参加群:死亡 23.7%、介護保険の必要性 8.8%
・社会参加群:死亡 28.4%、介護保険の必要性10.8%
危険因子のOR(odds ratio)
・死亡:AOR 0.65(95% CI 0.73〜0.99)
・介護保険の必要性:AOR 0.65(95% CI 0.52〜0.80)
多項ロジスティック回帰分析では有意差なし
●参考●
参加する社会グループごとのOutcome 発生率
【考察】
・変に運動をすすめるだけじゃなくて、趣味でもokみたいです
・高齢男性の引きこもりは問題になっています、退職前の患者を見ている我々からも、老後に社会参加を一緒に考えて行けたら良いですね。
【論文】Takahashi S, Ojima T, Kondo K, Shimizu S, Fukuhara S, Yamamoto Y. Social participation and the combination of future needs for long-term care and mortality among older Japanese people: a prospective cohort study from the Aichi Gerontological Evaluation Study (AGES). BMJ Open. 2019 Nov 11;9(11):e030500. doi:10.1136/bmjopen-2019-030500. PubMed PMID: 31719076; PubMed Central PMCID:PMC6858158.
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