【まとめ】腎性貧血の診断、治療。低酸素誘導因子活性化因子とは?

Common Disease

臨床状況

風呂場で失神し、救急搬送された78歳男性。未治療のHTNとCKDあり。採血で偶発的に貧血が指摘された。急性期治療後、腎性貧血の診断で治療開始となった。腎性貧血についてUptodate,二次資料を中心に復習した。また、新薬である低酸素誘導因子活性化因子について現在の見地をまとめた。
・腎性貧血の診断と治療は?
・低酸素誘導因子活性化因子とは?

腎性貧血の診断診断

①Hb 11以下、eGFR60以下
その他の貧血ではないことを除外
 ・高齢者の貧血の原因は
栄養の欠乏(鉄、葉酸、VitD12)が1/3
慢性炎症とCKDが1/3
その他(血液疾患)が1/3
 ・まずフェリチン、葉酸、VitD12、網赤血球、MCV、LDH
+Fever Work Up±甲状腺
♦貧血鑑別♦
初期評価
次に評価
小球性貧血
(MCV<80)
鉄欠乏
慢性炎症
銅欠乏、亜鉛欠乏
サラセミア
鉄芽球性貧血
(アルコール、薬剤、鉛)
正球性貧血
(80<MCV<100)
急性出血
慢性炎症
甲状腺機能低下症
CKD
下垂体機能低下症
骨髄抑制(骨髄浸潤、赤芽球ろう、再生不良性貧血)
大球性貧血
(100<MCV)
葉酸、VirB12欠乏
アルコール依存症、肝障害
甲状腺機能低下症
MDS,AML
溶血性貧血
薬剤性
Up to Dateより、改変

治療対象

①Hb10g/dL未満
②鉄欠乏がない(フェリチン>200ng/mL、TSAT(血性鉄/TIBC ×100)>25%)
・貧血そのものが腎不全の増悪予防になる

治療

鉄補充療法


・CKD患者はフェリチン100ng/mL以下が鉄欠乏と判断(非CKDは15-20ng/mL以下)

・フェリチン50ng/ml以下ならESAより先に鉄補充療法
・フェリチン300ng/ml以上なら補充しない

 

ESA(赤血球造血刺激因子製剤)による治療

1) ネスプ注射液10μgプラシリンジ
 初回治療:2週に1回皮下注または静注 1回30μgから 最高投与量は1回180μg
2) ミルセラ注シリンジ25μg
 初回治療:2週に1回皮下注または静注 1回25μgから 最高投与量は1回250μg

低酸素誘導因子活性化因子

・2020年8月よりダーブロック錠が発売となった
内服で腎性貧血の治療が可能
 ①臨床試験ではESA製剤と同等のHb治療効果
 ②赤血球産生に加え、鉄代謝を調整する(血漿フェリチンとヘプシジンの減少、血漿トランスフェリンとTIBCの増加)
 ③長期予後に関しては、臨床試験中
 ④気になる副作用の一つにVEGFの増加がある。

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治療目標

Hb

 10-11.5g/dLを目標に
13g/dL以上にコントロールすると心血管イベントが増加する

フォロー

Hb

 ・ESA治療していない場合
  貧血あれば年に3回 Hb測定
  貧血なくてもeGFR 30以下なら年2回、eGFR30-60なら年1回Hb測定
 ・ESA治療中は1-3ヶ月おきにHb測定

 ・鉄補充療法中
  3ヶ月おきにフェリチン測定
低酸素誘導因子活性化因子に関して

内服で腎性貧血の治療ができるようになるのは大きなメリットがありますね、、機序としては、末梢の組織を酸欠にしてEpoを増やすというやや乱暴な印象です。長期予後に関しては臨床試験中とのことです。プライマリ・ケア医としては、しばらく様子を見ます。にしても、VEGFの増加が気になります。癌化を増やす、、なんてことがなければいいのですが。

 

コメント

  1. turkce より:

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